むしばのはなし2Blog
皆様こんにちは。
千葉県船橋市西船橋、ミツワ歯科医院、歯科衛生士の吉田です。
前回のむしばの話の続きをお話しします。
むし歯の進行
口の中では、歯から歯の成分であるミネラルが溶け出す「脱灰」と、溶け出したミネラルが歯に再沈着する「再石灰化」が常に起こっています。しかし、歯垢が残ったままだと脱灰が進行して、歯の表面のエナメル質がスカスカの状態になり、やがて穴が開いてしまいます。まだ歯に穴の開く前の初期段階(初期むし歯)であれば、再石灰化の働きで健康な状態に戻る可能性がありますが、いったん歯に穴があいてしまうとむし歯の進行に従って歯の崩壊が進み、治療も困難になってしまいます。
むし歯になりやすいところとは?
歯磨きしにくく、歯垢の残りやすいところ
歯と歯の間、奥歯の噛み合わせなどの歯垢の残りやすいところ、歯の根の部分、詰め物のまわりなど、歯磨きのしにくいところは歯垢が残りやすく、「むし歯になりやすい」ところです。図のようなところは、特に念入りに磨きましょう。
むし歯とライフステージ
幼児期(乳歯列期)
乳歯と永久歯の構造は基本的には同じですが、乳歯は永久歯より小さい分、エナメル質と象牙質が薄くなっています。そのため、むし歯になると進行が早いので注意が必要です。上の前歯の歯と歯の間、奥歯の噛み合わせは、特にむし歯になりやすいところです。
永久歯は乳歯の下で成長しています。いずれ抜ける歯だからと、乳歯のむし歯を放置すると、その後に生えてくる永久歯の歯質や歯並びに影響を及ぼします。乳歯には永久歯が生えてくる場所を確保するという大切な役割があるので、早い時期に乳歯を失ってしまうと永久歯の歯並びが乱れてしまうことがあります。
乳歯のむし歯が重症で、根の先に病巣がある場合、直下の永久歯の歯質に影響することがあります。
むし歯などで乳歯を早期に失うと、隣り合った歯の移動が起こり、永久歯が生えるスペースがなくなってしまうことがあります。
学童期(混合歯列期)
一般的に6歳くらいから永久歯への生え替わりが始まります。生えたばかりの永久歯の表面は粗く、汚れがつきやすく落としにくいという特徴があります。さらに、歯質も未成熟なため、酸に対する抵抗力も弱くむし歯になりやすい状態です。最初に生えてくる第一第臼歯(6歳臼歯)は、特にむし歯になりやすいところです。
永久歯は生えてから5年ほどかけてゆっくりと成熟していくので、早い時期からフッ素を活用するなどの、積極的なむし歯予防が必要です。
成人期(永久歯列期)
大人の歯は、治療したあとの部分と、歯の根のところが特にむし歯になりやすいので気を付けましょう。
1. 治療した歯にできるむし歯(二次むし歯)
歯の治療をしたあとの詰め物や、患部にかぶせた被せ物のまわりに歯垢が付着し、それが原因でむし歯が発生します。気付いた時には意外に進行していることもあるので、一度治療したからといって安心はできません。
左・被せ物の周り / 右・詰め物の周り
2. 歯の根の部分にできるむし歯(根面むし歯)
歯周病の進行や、誤った歯の磨き方などで、露出した歯の根の部分に発生します。歯の根の部分は歯垢が残りやすく、歯質もやわらかいので、ていねいにブラッシングしましょう。
初期むし歯ってどういう状態?
穴の開いたむし歯になってしまうと歯は修復できませんが、「初期むし歯」の段階であれば修復は可能です。歯の表面に歯垢をつけたままにしておくと、むし歯の原因菌であるミュータンス菌がつくり出す酸によって、エナメル質の内部から歯の成分であるカルシウムやリンが溶け出す「脱灰(だっかい)」が起こります。
歯垢を残したままでいるとさらに脱灰が進み、やがてエナメル質内部はスカスカの状態になってしまいます。このように歯に穴があくむし歯の一歩手前の状態を「初期むし歯」といいます。
「初期むし歯」であれば、セルフケアで修復できるので、日頃の予防を心がけてください。フッ素は「初期むし歯」の修復を助ける働きがあるので、むし歯予防にはフッ素入りのハミガキの使用をおすすめします。
むし歯の予防方法
セルフケアのポイントは、以下の3つです。
①「歯垢」を残さず落とす
むし歯予防の基本はむし歯の原因となる「歯垢を残さず落とす」ことです。歯垢がつきやすい歯と歯の間、歯と歯茎の境目、奥歯のかみ合わせは、歯磨きの基本を意識しながら特にていねいに磨きましょう。歯並びの悪いところ、生え替わり途中など背の低い歯、奥歯の1番後ろなどの磨きにくい箇所は、お口の状態にあわせて歯ブラシのあて方を工夫して磨きましょう。
また、歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくく歯垢が残りやすいので、歯間清掃用具の使用が欠かせません。歯ブラシに加えてデンタルフロス(Y字型・F字型・ロールタイプ)や歯間ブラシを使いましょう。
②「フッ素」を口の中に残す
歯質を強化し再石灰化を促進する「フッ素を口の中に残す」ことが大切です。フッ素配合のハミガキを使いましょう。使用量は大人の場合、1~2cmが適量です。またフッ素は歯を磨いた後も口の中に残って効果を発揮します。すすぎは1回程度に留めておくのがおすすめです。
③「菌」の増殖をおさえる
むし歯の原因になる「菌の増殖をおさえる」ことも大切です。殺菌剤入りの洗口剤(デンタルリンス)が効果的です。特に寝ている間は、唾液の分泌が減少し菌が増えやすくなるので、就寝前の使用がおすすめです。
ライオン Lideaより
投稿日:2016年12月16日 カテゴリー:未分類